なぜ、今、日本でDXが議論されるのか 〜 注4

公開: 2021年4月21日

更新: 2021年5月15日

注4. 米国の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策給付金

米国議会は、2020年3月27日、新型コロナウィルス感染緊急対策および経済対策法案(CARES Act)の審議を通過させた。米国財務省とIRSは、この法案に基づき、2020年6月3日、約2.7兆ドルの経済対策を米国経済活性化のために実施することを発表した。2020年10月6日、IRSは、トランプ大統領の実施命令を受け、2008年に制定された経済刺激法に基づき、2018年度と2019年度の所得税申告者に対して、一人当たり1200ドルの給付金を配布することを発表した。実際にIRSによって、現金給付が開始されたのは、2020年11月6日からである。

実際の米国の国会と大統領府における事務処理の流れを見ると、日本の国会と行政府による事務処理の流れや、それに要した時間を米国の例と比較する限り、日本国内の事務処理が、米国政府のそれと比較して、多大な時間がかかったとは言えない。ただ、IRSが納税者に対して、税金を還付するための手順を、政府が納税者に対して給付金を配布するための手順として利用できることが、予め決められていた点だけが異なっていた。米国では、政府から受給者に対して直接、給付が実施されたのに対して、日本では、政府は地方公共団体に資金を公布し、各地方公共団体が住民に実際の給付を行ったのであった。

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